ダイエットを正しく理解する

ダイエットを正しく理解する

サプリメントに頼りすぎない

 

世の中にはさまざまなダイエット食品や健康食品が販売されています。どれを信じて実践するかは人それぞれですが、しかし一番大切なことは、その食事方法が本当に自分に合っているかどうかをチェックすることです。ひとつの方法を過信しすぎるのは危険です。体調が悪くなったり、変化が見られなかったりすれば見直すことも必要です。

 

医師の管理のもとで、極端な食事療法をおこなうために栄養素の補給を目的としている場合に利用するならばよいと思います。また、海外旅行に行き野菜不足になったりすると、ビタミン、ミネラルが不足がちになるため、その不足を補う場合などにサプリメントや健康補助食品を利用するのはよいでしょう。

 

しかし、ある食べ物がカラダによいから、「これさえ食べれば大丈夫」という単純な考え方には賛成できません。自分の健康管理を、ひとつの食品やサプリメントなどに委ねてはいけません。

 

また、栄養情報をまじめに実行しすぎる方もいます。栄養指導をしていると、カラダによいというものをすべてとって栄養過多の方もいます。その結果、中性脂肪、コレステロールが高くなっていたりします。カラダによいといわれる食品も、食べ過ぎるとカラダにストレスを与えてしまうのです。健康に不安を感じると、蘂にもすがる思いになりがちですが、冷静な態度が必要です。

 

たとえば牛乳は飲まなくてもよいと主張する方も多いですが、栄養素がほとんど含まれる、とても価値ある食品ですので、脂肪云々の理由だけでとらないのは本当にもったいないことだと私は思います。

 

ダイエット法と英会話勉強法の類似点

 

英会話の勉強とダイエットは似ていると感じます。テレビ、新聞、雑誌でさまざまな教材や英会話教室が宣伝されているのもそっくりです。これを使えば話せるようになる、ここに通えばペラペラになる、という宣伝文句は、これを使えばやせる、これを飲めばやせる……と効用をほのめかすダイエット食品の宣伝広告と、とてもよく似ています。

 

私たちも、今度こそこれを使ってやせよう、これを飲んでがんばろうと信じ込んで、あふれる情報に翻弄され、右往左往します。英会話も同じで、みんな楽して英会話ができるようになりたいと思うから、いろいろな英会話の教材や学校があるのでしょう。

 

いずれも「楽をしたい」という欲求が共通点です。しかし、どちらも地道な努力、長期間の継続がないと達成できないものです。ですので、流行や安易な情報には惑わされずに、科学的な裏づけ(「エビデンス」といいます)のあるものを選ぶようにするのが大切です。それには日本栄養士会、厚生労働省、国立健康・栄養研究所、国立国会図書館などのホームページから情報を得たり、管理栄養士にたずねることもひとつの方法です。

 

体内時計ダイエットの場合は食事習慣、生活習慣をカラダ本来のリズムに合わせていくダイエット方法、つまり規則正しい食習慣、生活習慣を身につけていくうちに、いつの間にかやせていく方法ですので、特別なサプリメントや高価な食材は必要ありません。手軽に始められることが利点です。効果をすぐに期待しないで毎日続けることが重要なのです。

 

健康にいいもののとり過ぎで起こる塩分過多、糖分過多

 

また、野菜ジュース、健康飲料、スポーツドリンクなどを健康にいいと信じて、水がわりに常用して水分補給している人もいますが、これは要注意です。

 

特にスポーツドリンクなどには、意外と糖分が含まれていて、中性脂肪を高くする原因になっています。また野菜ジュースには塩分が多く含まれているものもあり、塩分過多になりやすいのです。

 

くだものがカラダによいということで3食食べる習慣をもっている人も要注意。くだものには多くの果糖が含まれるので、摂取し過ぎは中性脂肪を高くします。

 

きちんと食事をとっているにもかかわらず、カラダによいという理由で健康食品を常用するのも、中性脂肪を高くする原因です。

 

野菜といっても、たとえばれんこん、空豆、ゆりね、かぼちや、とうもろこしなどは、糖質が大量に含まれるため、とりすぎにつながります。もちろん、あめ、ガム、チョレート、清涼飲料水、缶コーヒーなどをまめにとっている人も太りやすくなります。

 

人のカラダの中では化学反応がいくつもおこなわれています。糖質の多いものを食べ過ぎると太るのも、化学反応の結果です。糖質が脂肪に変わる化学反応の結果、脂肪が脂肪組織に蓄積されるから太るのです。

 

たとえば、美肌に大切なコラーゲンですが、食事でコラーゲン自体を食べても、化学反応を通して体内にとり入れられるので、食べたコラーゲンが、そのまま顔の皮膚に定着するわけではありませんし、食材に含まれる酵素が胃や腸で分解されないでそのまま人のカラダで働くとも考えられません。

 

病院などでおこなう血液検査も、人のカラダの化学反応の結果を見ているのです。それらの数値から病気を特定したり、あるいは数値の変動から、病気がよくなっているか、悪くなっているかを判断するために利用されたりしています。

 

栄養学について正しい知識をもつことが、とても重要だということがおわかりいただけると思います。

 

栄養学は日進月歩

 

栄養学も科学のひとつですので、新しい発見が相次いでいる学問です。

 

たとえば有酸素運動を、20分以上続けないと効果がないと昔はいわれていました。ジョギングなら20分以上走らないと、エネルギーの燃焼効果がないと信じられたきたわけですが、最近では、たとえ10分でも運動すればエネルギーが消費され、短時間ずつでも積み重ねることで、消費エネルギーは増えていくといわれるようになりました。今までの常識をくっがえす新常識が出てくることは科学の世界ではよくあることです。

 

栄養学も日進月歩で、新しい学説や発見にあふれています。ですから栄養情報は永遠不変のものではないということを念頭に入れておきましょう。

 

もう一つ例を出しますと、私が子どもの頃は、紫キャベツの紫色は、がんの原因になるのでないかといわれていましたが、今では「ファイトケミカル」という名前がついて、がん予防になるかもしれないといわれています。また食物繊維も以前は栄養素としてとらえられていませんでした。

 

各種の栄養素の働きが、いまだに解明されていない点も多いのです。こういう背景をふまえて、まずは、しっかりとした基礎を理解して、突飛な情報に惑わされないように注意していきたいものです。

 

アンチエイジングの最先端

 

数年前からアンチエイジング医学の世界で提唱されているものに、「カロリー・リストラクション」「抗糖化」「低GI」などの食事習慣にかかわるものがあります。

 

「カロリー・リストラクション」とは、カロリー制限のことで、これまでの摂取カロリーを30パーセントぐらいカットすることです。ただしカロリーを制限しても、必要な栄養素は過不足なく摂取することが重要です。長寿遺伝子を活性化するのに有効です。

 

「抗糖化」というのは、糖化を防ぐという意味です。人のカラダを構成するのは、たんぱく質ですが、このたんぱく質が分解される過程で、糖分と結合して「AGEs」という老化たんぱく質が生成されてしまいます。老化たんぱく質は、加齢によって増えていきますが、その蓄積を遅らせることがシミやシワなどの老化全般を遅らせることにつながることがわかってきました。過剰に食事から糖質をとるのは控えたほうがよさそうです。

 

「低GI」とは、「Glycemic Index」(血糖指数。炭水化物を食べた後の血糖値の上がる速さを示した指数のこと)の値が小さいことです。私たちのカラダは、食べ物を食べて血糖値が上がると、すい臓からインスリンを分泌し血糖値を下げますが、このインスリンには脂肪をつくってしまう働きがあります。「低GI」状態をキープすることで、脂肪をため込みにくくなるのです。

 

腹八分目、たっぷりの野菜

 

食事からの健康管理を心掛けている人に聞いたところ、その食習慣は、腹八分目、たっぷりの野菜、少しのご飯、赤身肉や魚をしっかり食べる、集中すれば空腹を感じない、30代の体重を維持する、とのことです。

 

食生活の基本は、穀物、植物性食品、動物性食品をまんべんなくとることです。穀類、豆・豆腐類、肉、魚、牛乳、卵、油脂類、くだものを、適度な量とり、とり過ぎないこと。とり過ぎると肥満、生活習慣病になりがちです。そして、野菜、海藻、きのこ類を豊富に食べましょう。

 

毎食、きっちりと管理するのが理想ですが、状況的に難しいこともあると思います。

 

そういう場合は、昨日食べ過ぎたから、今日はおさえようとか、1週問秤度を1サイクルと考えて、食事の量や種類を調整しましょう。

 

これは健康な食生活を送るための王道です。流行の健康食品やダイエット方法などを過信せず、栄養学の基礎を理解して正しいダイエットに取り組みましょう。

 

「何を、どう食べるか」も大切

 

せっかく「いつ食べるか」のリズムを整えても、「何を、どう食べるか」という食べる組み合わせがうまくいかないと、体内時計ダイエットはうまくいきません。

 

カラダを動かすためには、食物から生み出されるエネルギーが必要です。体内時計を動かすためにも同じことがいえます。うまくリズムを刻んで、体内での諸活動を制御するためにもエネルギーは必須のものです。

 

人間のカラダは、睡眠中はエネルギーをなるべく使わないように節約モードに入ります。朝食を食べないと、起床後もこのモードが続いてしまいがちになります。その結果、1日のエネルギー消費量も低下してしまいます。

 

また、朝食の欠食は血糖値の低下を引き起こし、脳に送るための糖を筋肉を取り崩してつくり出すため、筋肉の減少が起こります。それが長期に続くと、体力の低下や基礎代謝の低下を起こし、ますます太りやすくなります。

 

また、朝食の欠食によって、脳の視交叉上核の主時計遺伝子が「飢餓状態」に陥ったと錯覚して、カラダの活動を極力おさえようとするとともに非常事態に備えて脂肪の合成を促進する方向に働き、太りやすい体質をつくっていきます。

 

朝食の内容も考えないといけません。主食、主菜、副菜2品、汁物の一汁三菜スタイルを日常的にとっている方は、わずかしかいないという報告もあります。朝食はトーストにコーヒーのみ、おにぎりと野菜ジュースのみ、など簡単に済ませている方がとても多いのです。このような肉、魚、卵などのたんぱく質食品が足りない朝食では、内臓の時計遺伝子である、末梢時計遺伝子がうまく働かず、体内リズムが乱れたままで1日をすごすことになりかねません。体内リズムの乱れは、太りやすくなるだけでなく、体調不良にもなりやすいのです。

 

また、まったく同じ献立の食事でも、夕食で食べるほうが朝食で食べるより太りやすいということも覚えておきましょう。夜遅い食事はやめて早寝、早起きして、一汁三菜スタイルの朝食をとることが基本中の基本。正しい時間に正しい食事をとるという規則正しい生活習慣を身につけて、体内時計ダイエットを成功させましょう。